転がる種

映画、本、音楽、食、美術…。日常で出会う種々。

ドクダミに魅せられる

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(2017年5月玉川上水沿いにて)

 

 梅の実が膨らみ始めると、ドクダミが四枚の白い花弁を開きます。五枚ではなく四枚なんて変わっているなあ、と調べてみると、花弁に見える四枚は総苞片(そうほうへん)という器官であり、花は真ん中にある黄色い尖塔でした。(草木図鑑よりhttp://aquiya.skr.jp/zukan/Houttuynia_cordata.html

  

 ドクダミが我が家に登場するようになったのは、七年ほど前のこと。

 十薬ともいわれるドクダミを、お茶としていただいたのは、ドクダミハブ茶を乾燥させてミックスさせたお茶を近所の薬局でみつけてからです。

 十薬なんてもったいぶってるけど、そんなに効くの? なんてドクダミをちっとも重んじることなく、「旬だから」と軽い気持ちでいただきました。

 

 ところが。

 忘れもしない、そのお茶をいただいたのは満月。ザーッと熱が下がったと同時に、お手洗いに直行しました。おおっ、ドクダミ!その霊験あらたかなことよ!!

 その年は懲りて、そのハブ茶ミックスのドクダミ茶は登場しなかったのですが、翌年から、ドクダミが生え始めると気になり、そわそわするようになりした。

 で、よく洗ったドクダミの茎を細く切り、キンピラゴボウに混ぜて炒め、ドクダミの葉はお浸しにしたのです。

 しっかりお料理すると、臭みはすっかり抜け、家人はドクダミが入っていることに気づかない。熱をしっかり通していますから、薬効はほとんどないでしょう。まあそれでも野生の植物のいのちをいただく機会をなるべく増やしたいので、我が家での初夏の定番としました。

 

 この六月は、梅林の近くの一戸建てから、雑木林にほど近いマンションに引っ越して初めての初夏。さらに、トランス脂肪酸の摂取をより回避する観点から、揚げ物はもとより、炒め物も食べないようになりました。

 今年からドクダミはお茶にしよう。さてどこから入手しようかと思っている矢先、友人のお母さん、マダムTの庭先のドクダミをいただきました。ワンちゃんの散歩コースや、猫ちゃんロード沿いではないことがしっかり確認されたドクダミです。

 根元から掘り出したばかりのドクダミは、初夏の日陰の匂いを放ちました。まさに魚にも負けないくらいの香り。押し出しの強いセロリがこっそり行者ニンニクを食べて笑ったような匂いです。

 最初は、無造作にポンッと紙袋に入れていたのですが、友人が「お母さん、これはすごい匂いだよ」と慌て、マダムTがその紙袋をビニール袋で包んでくれました。

 その日はちょうど新月の二日前。ハーブの薬効をいただくのであれば、摘むにはまったく適していない日ですが、ドクダミに関しては、最小限の方がいいかもしれません。

 

 その夜から新月を挟んで夜を五つ数え、ドクダミを乾かしました。

 マダムTには「煎った方が美味しいわよ」とアドバイスがあったのですが、ここはドクダミの薬効をいただきたい。カラカラに干したドクダミをそのままお茶でいただきます。

 干しただけのドクダミ茶は、緑陰のじめじめした土をギュッと凝縮したような味がします。「なんだよ、これ。セロリかなんか強いハーブって感じだ。すげえつええ(強い)」と家人。でも、煎じてしまうのはモッタイナイ。カラカラに干されたドクダミが、薬効をお湯に移していく様に魅せられてしまったのです。

 日干しですっかり色褪せたドクダミが、お湯で生気を得て、鮮やかな深緑色に変わりながら、生えていた頃を懐かしむようにピンと張りながら艶めきます。緑陰が静かな湖面に落ちたようなお湯をいただくと、ドクダミの生が私に移り、私を生かしてくれるように感じられます。

 だからいまは二日に一度はドクダミ茶。お通じが良くなるのはもちろんのこと、お茶ですから汗も出ますし、生理痛できしむ子宮がじわっと温まります。きっと冬の脂肪に溜まった毒の排出もしっかり促してくれているに違いありません。