転がる種

映画、本、音楽、食、美術…。日常で出会う種々。

ホワイトアスパラガス、茹でる

  北海道から冷蔵便で中一日置いて送られたホワイトアスパラ。

   午前中に段ボールから取り出して野菜室に入れてから、半日。たった半日で、もう色が濃くなっています。

 

 根元5センチくらいは切り落として、厚めに皮を剥いて。剥いた皮は捨てずに、お湯を沸かしている深鍋の中へ。湧き水ではない、塩素で消毒された水道水では、せっかくのホワイトアスパラの風味が損なわれます。皮を煮れば、反応しきっていない塩素は飛ぶでしょう。塩素が反応してできた有機塩素化合物は口に入るけれど、それに負けない滋養を養うことで対応するしかありません。ミネラルウオーターで煮るわけにもいかないし。納得の浄水器が届くのはまだ先です。

 

 我が家の深鍋は、横浜の元町商店街の『荒井板金製作所』で購入したもの。お店の名前は無骨ですが、店内には選りすぐりの調理用品があります。そこで一目惚れして買ったのが、『和平フレイズ 木柄ザル付鍋セット 22cm ダンチュウDA-12』。

 なによりラインが美しい。持ってみると軽く、使い勝手の良い大きさ。それに一万円札を出して数千円のお釣りがくる値段も素敵。さすが、料理のプロが読む専門雑誌『dancyu』。家庭の台所にも行き届いた配慮をしておられる。

 深鍋は、我が家の鍋類で最も使用頻度が高いもの。購入してから五年ほど経つでしょうか。二年ほど前、蓋の金具を溶かしてしまいましたが、『荒井板金製作所』さんは、金具を数百円で取り寄せてくださいました。つくづくと費用対効果の高い鍋です。

 

 深鍋にいっぱいの水を淹れ、アスパラの皮を入れて。沸騰すると、アスパラの皮の香りが広がりました。剥いたアスパラを、深鍋を購入した際についてきた木の柄(え)のついたザルに入れて、ぐらぐらとアスパラの皮が煮えている熱湯に入れます。

 昨年のグリーンアスパラは、前の家のガスコンロで4分。いまの家のガスコンロでは何分だろう。ホワイトアスパラだから、グリーンより確実に早く茹で上がります。

 タイマーと、熱湯のなかで揺れるホワイトアスパラと。双方をにらめっこしながら、2分30秒を過ぎたあたりでかじると、うん、ちょうどいい。歯ごたえがありながら、やわらかく舌の上に乗ります。茹で上がったホワイトアスパラのお湯を切りながら、お皿に盛って「できたよー」と家人に声をかけました。

 

 今日は、「オランデーズソーズ」をあらかじめつくっておきました。

 数多くあるクックパッドのレシピのなかで、白ワインとエシャロットを使ったレシピが美味しそうだったのですが、簡単にできるレシピを参考にしました。

 ふだん卵は食べないのですが、今日は年に一回の「アスパラディナー」。昨年の七夕に巣だった雀の「豆腐」にごめんなさいをしながら、有精卵を買いました。放し飼いでのどかに暮らしながら恋もした鶏の卵です。虚偽や誇大表示ではないことを願いつつ、いまは元気な大人の雀として過ごしているはずの豆腐にも許しを乞いました。

 

 卵黄2個、レモン汁大匙2、バター48gとオリーブオイル32g、クレイジーソルトと黒胡椒。

 クックパットの簡単レシピによれば、バターが80gなのですが、作っている最中に足りないことが分かり、オリーブオイルを入れました。

 湯せんで卵黄2個、レモン汁大匙2、クレイジーソルトと黒胡椒を泡立て器で混ぜます。火元に置いたバター48gとオリーブオイル32gを溶けたものだけちょっとずつ入れて、さらに混ぜました。

 汗だくになって混ぜていると、ボールの底が見え始め、角が立ってきました。それが入っている小さなボールを火元から外し、お湯を張った大きなボールに浸しておきました。

 

 ホワイトアスパラ二十五本ほど、グリーンアスパラ十数本、皮ごと丸ごと30分茹でたジャガイモ。それにオランデーズソースと、『蒼龍 無添加白ワイン』でいただきました。

 

 今年初の試みのオランデーズソースをいただくと、「オリーブオイルと塩(クレイジーソルト)、コショウ(すり卸しの黒コショウ)でシンプルに食べる方が美味しい」と家人。やはりバターが足りなかったか。それとも、エシャロットと白ワインを使うレシピに挑戦すれば良かったか。年内に何度か作って、来年のホワイトアスパラに臨むことにします。

 

 『蒼龍 無添加白ワイン』は、ふだん赤の方を飲んでいるので、今日は白を、と安直に買い求めたのですが、青みが強すぎました。今日の食事には、蜂蜜香のする金色の白ワインが良かったかも。

 越してきたばかりで、ワインをどこで買っていいのやら分からず、忙しさに任せて近くのスーパーで入手したのですが、もっと丁寧に考えるのが正解でした。こだわりの酒屋とそこにいる食とワインを愛する店員さんを地元で探せていない現状では、近くのエノテカに足を運ぶくらいの労力を惜しんではいけなかったのです。亜硝酸塩が入っているリスクを回避するよりも、今回はとにかく料理とのマリアージュを一番にするべきでした。なにしろ、年に一回のことですから。

  

 まあ、いろいろあるにせよ、やはり美味しいアスパラ!

 美味しい、美味しい、という歓声が食卓に上りました。